白光。










パズルのピースをはめるみたいに、
僕と君の関係が同じくらいピッタリだといいなって思う。




二つで一つっていうのはあんまり好きじゃないけど、
二人で一つのものを支えていけたなら、
それはきっと幸せなことなのだと思う。















買い物先のディスカウントショップで、僕は唸っていた。
欲しい商品があるのだけれど、
それは何故だかとても高い位置に置いてあって、どう頑張っても手が届かない。



店員さんを呼べればいいのだが、
あいにく今日は店内がとても混雑していて、
とてもこんなことで声をかけられるような様子ではなかった。







「うーん」
何をどう考えても取れそうにない。
指先は触れたのだが、運悪く逆に棚の奥に押し込むような形になってしまった。




「諦める・・・しかないかな」
別に今日必要なものでもないし・・・。



しょんぼりと棚から離れる僕の足元で、
ムヒョがそんな僕の様子をじっと見ていた。

今日は珍しく買い物などについてきて、
さっきまで物珍しげに店内をウロついていたはずなのに。
いつの間にここに来ていたのだろう。




「手伝ってやろうか?」



ムヒョらしからぬ言葉に、ぽかんと間抜けな顔を披露してしまう。
今日のムヒョは機嫌がいいのだろうか。
ムヒョが僕を手伝おうなんて・・・そんなこと言われたのは初めてだった。



「え、でも棚高いし・・・僕でも届かないのに・・・」
とムヒョが嫌がる身長の話題に思わずふれてしまう。
案の定ムヒョは顔をしかめた。



「アホ。オマエに届かないものがオレにとれるかよ」


「じゃ・・・手伝うって?」
どういうことなの、聞こうとする僕の腕を下にひく。
思わず屈みこんでしまいながら、
僕は首を傾げた。





そんな僕の首に、
「こうすればいいだろが」
そう言ってムヒョは飛び乗った。




「わっ、ムヒョ・・・!」
ビックリしてそのまま倒れそうになる。








だって、これじゃまるで・・・。




「肩車だ・・・・・・」
間抜けに呟くと、同時に頭を殴られた。






「早くしろ、バカみたいじゃねぇか」



肩に君の体温を感じて心臓を破裂させそうになりながら、
僕は立ち上がった。

















ムヒョを肩車するというのが新鮮で、
些細なことだけれど二人で協力できたのが何より嬉しかった。






手の届かない場所でも、君がいれば、そこに在るものを得ることができる。





二人ならなんだってできるような気がして、
ただ甘酸っぱいような気持ちが胸に溢れてくる。




一人じゃないなんて、
改めて実感するようなことじゃないのかもしれないけど・・・
ただ嬉しいって思えた。






君がいる。
僕は僕のためだけじゃなく生きていくことができる。



それは思わず口元が緩んでしまうほどのヨロコビだった。











取ってもらった商品を受け取りながら、
僕は溢れそうな幸せに笑った。




いつもと変わらない表情のムヒョと、
ただこうやって笑い合えることが何よりも嬉しい。




いつまでもニヤニヤ笑いをしてしまう僕に呆れ顔を向けながら、
ムヒョは「ほら、行くぞ」と背を向けて歩き出した。







だから僕は気づかなかった。
背を向けたその向こうで、ムヒョもまた嬉しそうに笑ったこと。



「待ってよ、ムヒョー!」












僕らの世界は輝かしいばかりの白で溢れている。


いつだって二人の僕らは、それだけで世界を輝かせることができる。
















■イベント原稿の合間の息抜きに書きました。
ムヒョとロジの身長だときっと肩車は容易ですね・・・!(愛)